大手IT企業が経歴書の優れたエンジニアを採用しましたが、評価とは裏腹に勤務態度に問題が発生。頻繁な遅刻や指示の未実行が続き、会社側は本人と話し合い、本人が自主退職の形で退職しました。ところが退職後2か月、不当解雇を主張して労働局へ相談。企業はこれまで「自主退職」が前提と考え、対応を放置していましたが、労働局からの連絡を受け、あっせんに移行。最終的に未払給与1ヶ月分の支払いのうえ和解となりました。さらに会社は人事部長を降格処分、人事課長を訓告処分としました。後日、当該労働者が転職先でも同様の勤務態度だったことが判明し、今回の対応が正当だった事が裏付けられました。
本件のように「自主退職」に見えても、労働実態や手続きに不備があれば「不当解雇」になる可能性があり、労働局によるあっせんで解決金(給与1か月分程度)の支払いが和解条件として提示されるケースは珍しくありません。例えば、大阪労働局の事例では、退職勧奨に1か月相当の給与補償を支払うことで解決した例があります。
また、あっせん制度の実務では、勤務態度を巡る争いでも対話と補償を通じて和解に至る例が多く見られます。
・参考URL
大阪労働局「あっせんによる助言事例」:退職勧奨に給与1か月分の補償を受けた例
https://aoba-roumu.com/news/4303/
茨城労働局「あっせんによる合意事例」:勤務態度不良で補償金支払いに至ったケース
https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/roudoukyoku/kanren_shisetsu/sougou_roudou_soudan/annai02/annai02_2.html